フレキシブル導波管技術の確立に向けて

弊社は以下の業務を通じてフレキシブル導波管技術の発展に貢献します。

フレキシブル導波管とは?

■フレキシブル導波管の概要

フレキシブル導波管は、薄い金属層を含む糸(平箔糸)で作った導波管です。通常の導波管が金属を溶接するなどして筒を作る(この筒の中に電波を閉じ込めて伝送する)のに対して、フレキシブル導波管はこの筒の作成に、伝統技術である組紐の技術を適用することで、軽くて曲がる導波管を実現しています。
従来の導波管とくらべて「軽くて曲がる」だけなのですが、このことが使い勝手を大きく向上し、大きい付加価値を生み出すと我々は考えています。我々はこのフレキシブル導波管の技術により使い勝手の良い伝送線を実現することで、テラヘルツ通信の早期実用化への貢献、これまでにない新しい有線電波通信の実現を果たしたいと考えています。

■フレキシブル導波管の構造

左はフレキシブル導波管の構造を示した図です。
平箔糸を組み紐状に組む、この外導体構造が本技術における最大の特徴であり、曲げても電波が漏れず、曲げに拠るロスの増加がほとんどない、これまでにない電波伝送路を実現しています。
なお、この構造は特許により守られて1おり、明確な差別化が実現できています。

■開発経緯

組紐状の外導体をもつフレキシブル導波管は、2014年に福井県工業技術センターにより最初にその可能性が提案2されました。2016年に弊社渡邊が属した国内医療機器メーカーが検討に加わり、ここで技術のフィジビリティが確認されると共に、フレキシブル導波管は現在の構成をもつに至りました3。2019年には組紐製品の製造に実績をもつ(株)米澤物産が検討に参画し、3者による技術開発および製品化に向けての連携が開始されました。
2020年には(株)米澤物産が専用製造設備を導入するとともに、市場調査、ユースケースの模索および課題の抽出を目的としたサンプル販売を開始、更に2021年には技術の実用性を高めるために標準化取り組みを開始するなど実用化に向けた取り組みは進みましたが、開発に必要な費用と人とが工面できずに2022年には福井県工業技術センターが、2023年には前記国内医療機器メーカーが検討から離脱(両者ともにその後も支援は継続、弊社渡邊はここで独立し弊社を創業)しました。その後は(株)米澤物産を(株)導波技術研究所が支援する形で検討継続することになりました。
 フレキシブル導波管は現在V帯、E帯、W帯でサンプル販売を行い、(株)米澤物産が主体となって展示会出展を続けるなど実用化に向けた取り組みが続けられています。標準化取り組みは、一般社団法人日本規格協会の支援(新市場創造型標準化制度への採択)を受ける形で進展を見ています。技術開発は2021~2023年には一時停滞したものの、2023年に申請し、採択をいただいた情報通信研究機構(NICT)の委託研究事業で得た費用と体制により、技術の完成にむけた取り組みを推進できる環境を整え、現在は技術開発を加速することができています。

  1. 特許第6343827号(福井県),特許第6503408号(オリンパス(株)) ↩︎
  2. 末定新治、村上哲彦,“可撓性導波管の開発”,信学ソ大, C-2-40,2014/9/23 ↩︎
  3. 渡邊正、伊藤圭吾、松尾直樹、末定新治、村上哲彦,“60GHz 向け可撓性導波管の検討”,信学ソ大,C-2-56,2017/9/15
    渡邊正、伊藤圭吾、末定新治、村上哲彦,“90GHz以上で利用可能な可撓性導波管の検討”,信学ソ大,C-2-47,2018/9/13 ↩︎